果てしなき城の心 ― ピアノで聴く『無限城への入口』
- Yeoul Choi
- 11 時間前
- 読了時間: 5分

『鬼滅の刃』は、吾峠呼世晴によるダークファンタジー漫画で、2016年から連載が始まりました。物語は、人間を襲う「鬼」と、それを討伐する「鬼殺隊」との戦いを描いています。主人公の炭治郎は、家族を鬼に殺され、唯一生き残った妹・禰豆子が鬼に変えられてしまったことを知ります。彼は妹を人間に戻すため、鬼殺隊へと入隊し、数々の過酷な戦いに身を投じていきます。
本作は、迫力あるアクション、深い感情描写、生と死の哲学的なテーマで世界中のファンを魅了し、アニメ化をきっかけに爆発的な人気を博しました。
『鬼滅の刃』シーズン4 第8話:ストーリー概要
シーズン4第8話「柱合会議」は、鬼舞辻無惨との最終決戦の幕開けを告げるエピソードです。鬼殺隊の病弱な当主・産屋敷耀哉は、無惨を自らの屋敷へ誘い出すことに成功します。対峙した産屋敷は、無惨の存在が自らの一族と深く関わっていることを明かし、家族とともに命を賭して巨大な爆破装置を作動させ、無惨を拘束しようとします。
この危機的な瞬間、鬼殺隊と協力する鬼・珠世が、鬼を人間に戻す効果を持つ特別な薬を無惨に投与します。その隙を突いて、柱たちと炭治郎が駆けつけますが、無惨は圧倒的な力で全ての鬼殺隊士を「無限城」へと強制的に転送し、戦いの舞台を自らの根城へと移します。
このエピソードは、無惨と鬼殺隊との避けられぬ最終決戦の幕開けを告げる、まさに物語の転換点となっています。
挿入曲(OST):「無限城への入口」
この物語の中でも特に印象的な楽曲のひとつが、作曲家・椎名豪による「無限城への入口」です。椎名は壮大なオーケストラ編成に加え、合唱を取り入れることで、劇的で映画のようなスケール感を演出しています。雷鳴のような打楽器と重厚なブラスは、迫り来る脅威と大規模な戦いの始まりを予感させ、疾走するストリングスは、鬼の力により英雄たちが無惨の迷宮のような城へと引き込まれていく混沌を表現しています。
終盤では、ドラム、合唱、ピアノ、シンセサイザー、ストリングス、ブラスが一体となって旋律を奏で、圧巻のクライマックスへと到達します。
SLS MUSIC:ピアノ版「無限城への入口」
――和声の魅力と音色効果を最大限に引き出したカバー!
ピアノカバーで、豊かな響きや複雑なストリングス、多彩な音の質感を持つオーケストラ曲を表現するには、いくつかの工夫が必要です。主なポイントは以下の通りです。
SLS MUSICによるピアノカバーは、オリジナルオーケストラの壮大さをそのままピアノで表現しています。冒頭の長い合唱は省略され、曲は直接メインテーマ(モチーフA)に突入します。ハーモニー的には、このAセクションは i – ♭VII – III – IV – V の進行で構成されています。マイナー調で始まるものの、♭VIIやIVのようなメジャーに近い響きの混ざりによって、解決されない緊張感が生まれ、果てしなく神秘的な世界へ引き込まれるような感覚を呼び起こします。左手は低音域の和音を強調し、右手が主旋律を担います。17小節目でテーマが繰り返される際には、主旋律はオクターブ上で演奏され色彩感を加えつつ、低音の伴奏はそのまま保たれ、まるで大太鼓のような力強さを演出しています。
Bセクション
32小節目でBセクションが始まり、新しいテーマが登場します。Eマイナーの下降クロマチック音型 E–D#–D–C# が特徴です。左手は微妙な変化を見せ、Aセクションでの低音の打楽器的効果とは対照的に、リズムの動きに彩りを加えています。
この第二のテーマの終盤では、高音域での快速パッセージが現れ、オリジナルのシンセサイザーラインを模倣しています。SLS MUSICの編曲は、原曲のテクスチャや色彩を忠実に再現することに強くこだわっていることがよく分かります。
テーマ的アプローチ
注目すべき特徴のひとつは、禰豆子のテーマです。三連符のアルペジオ伴奏と叙情的な旋律で表現され、炭治郎の妹としてのキャラクターを音楽的に示しています。静かに始まるこのテーマは徐々に盛り上がり、壮大な変奏を経て、まるでオーケストラ全体が演奏しているかのような響きを生み出します。
その後、最初のセクションの伴奏が戻り、「鬼殺隊のテーマ」へとつなげられます。点音符(八分音符点・十六分音符点)を用いたリズムによって英雄的な行進曲の雰囲気を醸し出し、両手がほぼ同じ動きでリズムを強調することで力強さが増しています。
アウトロとコーダ
アウトロでは、原曲のEマイナーから半音上のFマイナーへ転調する点が特に印象的です。キー自体はオリジナルとほぼ一致していますが、旋律と和声が繰り返され、パッセージが効果的に延長されています。
急速なB♭メジャーのアルペジオがピアノの高音域まで駆け上がった後、コーダでは低音域の和音へと一気に落ち込み、トレモロ奏法による迫力ある響きで締めくくられます。このセクションは極端な音域と複雑な演奏技術を要求するため、高度なピアノテクニックが求められます。
ピアノ練習のコツ
多くのパッセージでは高音と低音が同時に鳴るため、注意が必要です。
ミスを避けるために、両手を合わせる前にそれぞれ別々に練習しましょう。
レガートを保ち、音の途切れや隙間を防ぐために、ペダルを効果的に使いましょう。強弱が重要なので、テーマ間のコントラストを際立たせて、表現力を高めましょう。
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