ENHYPEN〈Fatal Trouble〉:公式ピアノ楽譜レビュー ―K-POP好きピアニストのための中級レベルレパートリー
- Yeoul Choi
- 1 日前
- 読了時間: 6分

K-POPが好きなピアニストの皆さん、必見です。HYBEが最近、自社アーティストの楽曲を公式ピアノカバーとしてリリースしました。今回はその中から、ENHYPENの〈Fatal Trouble〉に注目します。本記事では、楽曲の構成や音楽的な特徴を解説するとともに、新たに発売された公式ピアノ楽譜について詳しくレビューしていきます。
ENHYPEN「Fatal Trouble」:動き出すダークファンタジー
ENHYPENの「Fatal Trouble」ミュージックビデオは、2024年5月13日に公式YouTubeチャンネルにて公開されました。アニメーション形式で制作された本作は、DARK MOONシリーズに登場するヴァンパイアの少年たちの物語を描き、幻想的で物語性の強い世界観をより一層際立たせています。
現在、公式ミュージックビデオは再生回数1,770万回を超え、世界中のファンから大きな注目を集めています。ストリーミング用のクリップやパフォーマンス動画もファンの間で活発に拡散されており、「ナイフのような切れ味」とも称される、難易度が高く一糸乱れぬシンクロ率を誇るダンスは大きな話題となっています。
ENHYPENのグローバルファンダムは「ENGENE(エンジン)」と呼ばれ、デビュー前の時点ですでにSNS上で100万人以上のフォロワーを獲得していました。その後も、アルバムリリース、ワールドツアー、ライブパフォーマンスを重ねるごとに、ファンダムは着実に拡大し続けています。
ENHYPENとは?
ENHYPENは、ジョンウォン、ヒスン、ジェイ、ジェイク、ソンフン、ソヌ、ニキの7人で構成されるボーイズグループです。サバイバル番組『I-LAND』を通じて結成され、2020年にデビューしました。デビュー以降、K-POPシーンを代表する存在の一つとして急速に地位を確立しています。音楽やパフォーマンスに加え、緻密に作り込まれた物語性のある世界観を融合させることで、ENHYPENは韓国国内のみならず、世界中のファンから高い評価と支持を集めています。
不穏な幕開け:謎めいた和音と調性の曖昧さ
本楽曲は、GM–EbM–Gm–CMという印象的なコード進行で幕を開けます。この進行は、明確な調性をあえて感じさせない構成となっており、冒頭から強い緊張感を生み出しています。こうした神秘的なコード進行は、Aメロ後のプレコーラスでも再び登場し、不安定さや不穏な雰囲気をさらに強調しています。
対照的に、サビでは Gm–EbM–BbM–DM という、調性がより明確に感じられるコード進行へと移行します。この進行がサビ全体を通して繰り返され、終盤に向かってエネルギーが一気に解き放たれるような、爆発的な高揚感を生み出しています。
曖昧で「謎めいた」和声と、より王道的なコード進行とを行き来することで、本楽曲は歌詞が持つ感情の揺れ動き——不安と切望のあいだを行き交う心情——をより強く際立たせています。こうした印象的な構成とサウンドデザインによって、〈Fatal Trouble〉は曲が終わったあとも聴き手の心に深く残ります。リリースから2年が経った2026年現在においても、ENHYPENの迫力あるパフォーマンスと相まって、今なおファンに愛され続ける代表的な楽曲の一つです。
HYBE公式ピアノカバー版〈Fatal Trouble〉
原曲の構成や感情表現をしっかりと踏襲したHYBE公式の〈Fatal Trouble〉ピアノカバーは、中級レベルに設定されており、趣味でピアノを楽しむ方にも取り組みやすい、バランスの取れた内容となっています。また、楽譜には演奏動画へアクセスできるQRコードも掲載されており、練習前の参考資料として非常に役立つ点も魅力です。
原曲のサウンドをすべて忠実に再現しようとするのではなく、このカバーでは楽曲の核となる雰囲気やモチーフ、メロディに焦点が当てられています。繰り返されるリズムパターンやベースラインを軸とした動きによって、原曲が持つ緊張感を保ちつつ、ピアノならではの音色の魅力を活かした、鍵盤楽器として自然で完成度の高い作品へと昇華されています。
音楽的なポイント:リズム・ダイナミクス・ペダリング
全体としてこのカバーは、技巧的な華やかさよりも、リズムの安定感、ダイナミクスのコントロール、そして丁寧なペダリングを重視した内容となっています。そのため、演奏者は楽曲の雰囲気づくりや感情の機微を表現することに、より集中することができます。公式K-POPピアノ楽譜を探している方はもちろん、ややダークトーンのピアノレパートリーを求めている方にとっても、音楽的な楽しみが詰まったカバーと言えるでしょう。
トラックの緊張感を鍵盤へと落とし込む
ピアノ版では、左手が主に伴奏とリズムの土台を担い、右手がメロディを受け持つことで、役割分担が明確にされています。イントロでは原曲同様、GM–EbM–Gm–C というミステリアスなコード進行が保たれており、左右の手が生み出す意図的な不協和音のぶつかり合いは、ピアノの音色によってさらに際立った印象を与えます。
Aメロでは、左手の伴奏に比較的大きな跳躍が含まれており、音を外さないためには手の移動に十分な注意が必要です。ラップパートでは、原曲のグルーヴを忠実に反映した三連符のリズムが記譜されており、左手の安定した8分音符の動きと重なります。その結果、複雑な混合リズムのテクスチャが生まれ、各手の中でのリズムの独立性はもちろん、左右の手同士の独立性も高いレベルで求められます。
サビでの重なりとカバーの変化
サビの最初の小節は、プレコーラスのメロディが終わるのと同時に始まる「オーバーラップ構造」になっています。演奏をスムーズに行えるよう、この重なり部分では右手が跳躍の少ないシンプルな単旋律として書かれており、自然な入りを助ける工夫が施されています。イントロやAメロとは対照的に、サビではカバーに明確な変化が見られます。これまで単旋律だった右手のメロディは、ここで6度の並行和音へと広がり、ドラマ性が一段と高められています。それに呼応する形で、左手は各小節の拍頭にオクターブを加え、低音を力強く支えることで全体の響きをより豊かにしています。こうしたさりげないカバーの変化が楽曲に多彩さを与え、練習過程においても飽きのこない内容となっています。
ブリッジとアウトロ:クライマックスへ向けて
ブリッジからアウトロにかけては、オクターブのユニゾンが右手にも広がり、楽曲全体の緊張感とドラマ性が大きく高められます。テクスチャーの密度も自然に増し、クライマックスがより鮮明に印象づけられます。メロディが鍵盤全体にわたって大きく展開するため、このセクションは聴きどころであると同時に、手の移動や音色のコントロールに細心の注意を要する、技術的にも重要なポイントとなっています。
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