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作曲を学んで変わった楽譜の見え方:演奏者のためのシンプルなヒント

  • 執筆者の写真: Yeoul Choi
    Yeoul Choi
  • 9月30日
  • 読了時間: 8分

更新日:10月15日

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こんにちは、MyMusicSheetの読者のみなさん!


私はMyMusicSheetで楽譜やクラシック音楽の分析記事を投稿しているライターです。簡単に自己紹介すると、現在アメリカの音楽大学で作曲の博士課程に在籍しており、学部生向けの音楽理論のティーチング・アシスタントとして働きながら、演奏やコラボレーションを通して作曲活動も続けています。


今日は、作曲を専攻している私が音楽をどのように捉えているか、つまり「初めての曲に取り組むときの実践的なヒント」を、自分自身の体験談を交えてお話ししたいと思います。


初めての作曲レッスン

中学2年の冬、両親を説得して作曲のレッスンを始めさせてもらったことを今でもよく覚えています。

当時の私はただ音楽が大好きで、趣味としてピアノを楽しんでいただけの少女で、「作曲を学ぶ」とはどういうことなのかまったく分かっていませんでした。けれど、既存の曲を読んで演奏するだけでなく、自分で音楽を書いて自分で演奏する音楽家たちの姿がとても魅力的に思えて、「自分もそうなりたい」と思ったのです。

こうしてようやく念願の作曲レッスンを始めましたが、その先に広がっていたのは、作曲の学びがいかに複雑な世界であるかという発見でした。



最初の関門:和声

先生は、「優れたクラシック作曲家になるためには、まず和声(トーナル・ハーモニー)を徹底的に学ばなければならない」と教えてくれました。そこで私は基礎から始め、次第に複雑な規則へと進み、やがて厳格な声部進行が求められる四声体の書法にも取り組むようになりました。

無数の課題をこなす練習は時に楽しくもありましたが、同時にとても大変な挑戦でもありました。

毎日、ピアノや机に向かって新しい課題を解き、先生からのフィードバックを受け、間違いを直し、また繰り返す。その連続は忍耐と規律の訓練であり、まるで精神修行のようなものでもありました。



音楽分析が楽しくなった瞬間

「知れば知るほど、見える世界が広がる」という言葉があります。長く時に苦しい学びの過程を経て、高校の最終学年を迎える頃には、私はすでに高度な和声まで修了していました。

先生はいつもレッスンの中に楽譜分析を取り入れていました。そして和声を習得したそのとき、魔法のような変化が起きたのです。新しい曲を目にすると、ほとんどの和音をすぐに認識でき、ローマ数字で自動的に書き込めるようになったのです。

「すごい!こんなに難しい音楽を自分で分析できるなんて!」――初めてそう感じたときの喜びは忘れられません。

それ以来、新しい曲に出会うことを怖いと思わなくなりました。

例えば、こんなふうに考えるようになったのです:


  • 「なるほど、ここで転調が起きているんだ……この転調が曲を新しい構成部分へと導いていて、その移行がとても自然で美しいな。」

  • あるいは、「この作曲家は旋律の下にこんなに洗練された和声進行を仕込んでいるのか――なんて見事な書き方なんだろう!」


和声について学べば学ぶほど、新しい音楽に向き合ったときに得られる気づきがどんどん広がっていきました。



音楽形式の学び

和声に加えて、音楽の形式や様式も学びました。これもまた、楽曲をより速く読み解くための大きな武器となりました。例えば、チャイコフスキーの《四季》より《6月 舟歌》を取り上げてみましょう。この曲は三部形式(ABA’)で書かれています。1分40秒あたりで新しい主題が登場し、B部分の始まりを示します。その後、推移を経て約2分30秒頃に冒頭の主題が元の調で戻ってきて、A’部分が形成されます。これは教科書的な三部形式の例であり、同じような構造に基づいて作られた作品は数えきれないほどあります。形式を理解していると、練習も分析もぐっと楽になるのです。

 

<P. I. Tchaikovsky- The Seasons op.37a no.6 'Barcarole'>

 

実践的なヒント:和声

では、新しいピアノ曲をできるだけ早く身につけたいとき、どのようにアプローチして読めばよいのでしょうか。もちろん、作曲専攻の学生のように和声を徹底的に学ぶ必要はありません。でも、和声の基礎を少しでも学ぶことを強くおすすめします。和音の機能や性質を理解できるようになると、楽譜を読むスピードもぐっと速く、滑らかになるからです。

また、一見ただのシンプルな和音進行に見えるものが、実は曲全体を支える主要なアイデアであることもあります。そのことに気づけると、暗譜もはるかに楽になります。もう一音一音を苦労して覚える必要はなくなるのです。これは私自身の経験からも断言できます!


では、再びチャイコフスキー《四季》第6曲「6月 舟歌」に戻りましょう。

和声を理解するためには、まず調を確認する必要があります。この曲はト短調で、拍子は4/4、テンポはアンダンテ・カンタービレ(ゆったりと歌うように)と指示されています。


Tchaikovsky, The Seasons, sheet music, piano score
<Tchaikovsky: The Seasons, op.37a no.6 – the first 10 measures>

ここからは、和声を表す一般的な方法であるローマ数字分析を使い始めます。基本的には、音階の各音に三和音を積み上げ、それぞれにローマ数字を割り当てます。例えば、最初の和音は I(短調の場合は i)と表し、五度の和音は V と表します。


《6月》の冒頭小節は、主和音であるトニックの i(ト短調)から始まり、その上で旋律が展開されます。ピアノで弾いてみると、右手が主に旋律を担当し、左手が和声と伴奏の役割を果たしていることに気づくでしょう。

左手だけを弾いてみると、1小節目から3小節目の3拍目まではトニックの和音 i が支配的であることが分かります。そして4拍目でベースが A に動き、別の和音のルートになります。これはドミナントの和音 V で、しばしばトニックを装飾したり延長したりする役割を持ちます。i と V が組み合わさることで、フレーズの終わりや区切りを示すカデンツ(音楽的な句読点)の基礎も形成されます。


つまり、冒頭の4小節では、音楽は i と V のやり取りによって構成されています。曲を進めていくと、この同じ和声関係が主要な旋律のアイデアを何度も支えていることに気づくでしょう。

最初からこの和声の枠組みを理解しておくことで、左手の練習が格段に楽になり、圧倒されることも少なくなります。音符を一つずつ追うのではなく、曲全体を支える大きな和声構造を把握しながら弾けるようになるからです。



楽曲構造で練習を楽にする

和声に気づき始めたら、次のステップは楽譜の構造を見ていくことです。形式を専門家のようにラベル付けするのではなく、音楽のアイデアが切り替わる瞬間を見つけ、曲をそれに応じて区切ることが実践的です。最初の音から機械的に読むのではなく、まず全体像を把握し、各アイデアの性格を想像してから練習を始めると効果的です。

練習する際は、音符を一つずつゆっくり追うことから始めないでください。

まずは、全体像を把握することから始めましょう:


  • 主な音楽のアイデアは何か?

  • それぞれはどのように異なっているか?

  • 各セクションにはどんな性格や雰囲気があるか?



これらの点を考えながら曲を見つめると、演奏や解釈の新たなインスピレーションが生まれてきます。


チャイコフスキーの楽譜に戻ると、右手の上向きの階段状の動きは徐々に緊張感を高め、前進する力や活力を生み出します。

一方で、その後に続く旋律は大きな跳躍を伴うことが多く、下降することが多いため、力強さではなく、むしろ落ち着いた沈み込むような印象を与えます。このように、上昇する歩みと下降する跳躍が交互に現れることで、対照的な色彩が生まれると同時に、有機的に統一されたフレーズが形作られるのです。

最終的に、この曲の魅力は単に旋律の形にあるのではなく、同じ手法—「段階的な動き」と「跳躍」—が方向や文脈によってまったく異なる感情を呼び起こす点にあります。


 

Tchaikovsky, The Seasons, sheet music, piano score
<Tchaikovsky: The Seasons, op.37a no.6 – measure 11-20>

上記の箇所は、序奏のすぐ後に現れます。序奏では右手が穏やかな階段状の旋律を歌っていましたが、ここでは新しいアイデアに移るにつれて音楽は徐々に活力を増していきます。和声も変化し、左手の安定した伴奏の上で、右手は繰り返しのパターンを担い、音楽を前へと押し進めます。

特に「poco più f(やや強く)」の指示によって上昇する旋律が強調され、音域やダイナミクスの広がりと相まって、音楽自体がより力強く湧き上がるのを感じられます。


続いて現れるのは、一連の短く凝縮されたモチーフで、反復と変化を通して緊張感を高めた後、やがてディミヌエンド(dimin.)による収束へと導かれます。このような対比と循環は単なる旋律の動き以上のものを示しており、まるで湖で漕ぎ進める舟のように、波が徐々に盛り上がり、やがて静けさへと沈んでいくかのようです。


練習においては、単に音符を追うだけでなく、「前進する勢い(forward-driving impulse)」と「落ち着く流れ(settling flow)」という二つの大きな起伏を意識することが重要です。これを念頭に置くと、各フレーズは別々の旋律断片のようには聞こえず、むしろ連続する波のような息づかいとして、ひとつの長く展開する物語として響くようになります。


この記事が、皆さんの練習に新しい発想をもたらす助けとなれば嬉しいです。

今日をきっかけに、より楽しく、より充実した練習の時間が始まりますように!



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